選鉱・精錬
 古代の砂金掘り時代は自然金を拾っていただけですから、椀かけ法を用いていたものと思われます。金の比重は砂(石英粒など)や泥に比べて極めて大きいため、椀かけ(パンニング皿)を使って選り分けていたのです。比重選鉱法の一種です。川床を掘ったにせよ、何分小規模でしたから、川水を汚す、鮭の産卵場所を奪う程度で、たたら製鉄のように燃料として周辺の森林を伐採するような環境破壊は少なかったと思われます。アメリカのゴールドラッシュは大規模でしたから、木製選鉱台が用いられました。上部に金網を張った箱に砂金を含む土砂を注ぎ、水で洗い流すと、下部に比重の重い砂金が溜まる仕組みです。しかし、日本は小河川が多いですから、実在したかどうか疑問です。
 地山の鉱脈鉱石を直接採掘利用するようになったのは、戦国時代だそうです。南蛮人から「灰吹法」という技術がもたらされたのです(朝鮮渡来説もあります)。別項で金鉱脈は銀と混じり合った銀黒の形態をとることが多いと述べましたが、炉の中に鉱石と鉛・硫黄を加えて加熱、浮かんできた硫化銀に束ねたワラで水をかけます。できた薄い皮を鉄の板ではがして硫黄を加えて溶かすという作業を繰り返して純金を得るのです。「灰吹法」は時代と共に進歩しましたので、いろいろな方法があります。なお、飛鳥池遺跡調査によれば、鉛を使う灰吹法と水銀を使う混汞法(アマルガム法)は共に7世紀後半には既に日本に導入されていたそうです。

§ 参考文献

§ 参考サイト